しゅう兄さんの臨床心理士的生活-飲酒と自殺について-

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2006.05.22(月)

飲酒と自殺について

4月以降、体調が芳しくない日や、夜に仕事をしないとダメな日が多いせいで、飲酒量が随分と減っています。飲酒量が減ることはいいことのなずなのに、なんだか、飲まないと体調が悪くなるような錯覚にとらわれ、強迫的に飲酒をしなければと考えてしまう今日この頃・・・。

それって異常ですかね・・・??

さっき、「やぶ医師のつぶやき」~健康、病気なし、医者いらずを目指してというブログで、飲酒と自殺の関係についての調査ってのを見つけたのですが(エントリー「お酒と自殺リスク」)、あんまり聞かない研究だなあと思ったので、ちょっと紹介しますね(飲酒と病気についての研究は良く見かけますけどね)。

研究概要はこちらに載ってます。

飲酒と自殺について ―概要―
-厚生労働省研究班「多目的コホート研究(JPHC研究)」からの成果-


コホート研究ってのは、大雑把に言うと、ある危険因子に晒された群と晒されていない群の二つで、将来、ある病気になる率が違うかどうかを調べる研究です。

今回はこういうことらしいです。

平成2年(1990年)と平成5年(1993年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県柏崎、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古の9保健所(呼称は2004年現在)管内にお住まいだった40から69歳の男性4万3383人の方々を、7から10年(平均8.5年)追跡した調査結果に基づいて、飲酒と自殺との関係について調べた



何ゆえその地域が選ばれたのだろうってのが若干気になりますが(微妙に田舎ばかりのよーな)、4万人だから結構大規模な調査ですね。厚生労働省にしかできない研究です。

さて、最初から読み始めるといきなり「??」という部分があるのですが、

がんなど国民の生活の質の低下や平均寿命前の死亡に直結する病気の発生には、喫煙や食事をはじめとする生活習慣の役割が重要と考えられていますが、自殺についても同じように生活習慣との関連を追及し、予防対策のための科学的根拠を得ることが期待されています。



研究するからには、やみくもに調査するわけではなくて、仮説を立てるわけですが、このくだりからすると、「自殺の危険因子として、何らかの生活習慣が仮定される」っていう仮説ですかね?そんでもって、それがわかれば、「生活習慣を変えれば、自殺のリスクが減るかも」って言ってるわけですよね?

う~ん・・・そんなに単純なものかなあと思わなくもないですが、さて、結果はどうなったかというと、

「日本酒換算で1日3合以上」の飲酒者の自殺リスクは「月に1から3日」の2.3倍



ほお・・・。結構差がでるのですね。しかし、「3合以上」の群と「月1~3日」群と比べれば、こんくらいの差は想定の範囲内のようにも・・・。まあ、理由はあとで。

さて、ここから先は私の読み方が悪いのかもしれませんが、

習慣的な大量飲酒は自殺のリスク要因であることや、アルコール乱用者の間では自殺リスクが高いことが指摘されています。



「習慣的な大量飲酒は自殺のリスク要因」ってのは、大量飲酒と自殺を因果関係で論じているように思うんですけど(つまり「大量飲酒は自殺につながる」ってこと)、調査結果は相関関係を示しているだけですよね?

この研究以外に、生活習慣と病気ってテーマでたとえば、「喫煙と虚血性心疾患」とかの研究もあるんですけど、これなら、相関を示しただけで、因果関係を言ってもほぼ問題ないわけですよ。それは喫煙により心疾患が起こるメカニズムを説明できるからです。

でも、お酒をたくさん飲む人ほど自殺しやすいってのは、アルコールという薬物が希死念慮を高めるっていうわけではないでしょうから、ちょっとそう簡単に因果関係を言えないと思うんですよね。

むしろ、大量飲酒してしまう群はそれだけ、ストレスフルな生活を送っている群かもしれないし、アルコールに頼ってしまう性格傾向を持っている群とも言えるし、アルコール依存症の群も含まれているわけですから、その人たちは、アルコール依存症が元で、家族や仕事を失い、自暴自棄になっているかもしれません。

いちおう、この研究結果の中でも、

今回の研究では、うつ病などの気分障害、経済状況などの社会的要因、アルコール依存やアルコール乱用についての情報が得られていません。そのため、これらの影響を考慮できませんでした。



って言ってるわけですから、わかってそうなのに、

飲酒習慣とがん、脳卒中、何らかの原因による寿命前の死亡との関連を調べたこれまでの多目的コホート研究の結果からは、時々や少量の飲酒習慣ではいずれもリスクが高くなることはありませんでしたが、大量の飲酒習慣によってリスクが高くなることがわかっています。
他の病気との関連や、アルコール乱用の害を考えると、定期的にお酒を飲む人でも、1日あたり日本酒換算で1合、ビールなら大瓶1本程度以内にとどめたほうが良いでしょう。(同研究のリサーチニュースより



て結論づけてるんですよね。これって要するに、「アルコールはいろんな病気になるだけでなく、自殺の危険性も高くなるので、控えましょうね」ってことですよね?うーん・・・。ちょっと的外れな気が・・・。

ちなみに、この調査報告の中でメインで取り上げられているのは、

また、まったく飲まないグループでも、時々飲むグループより自殺のリスクが高くなっていました。まったく飲まないと答えた人で過去の飲酒状況がわかっている約6000人について、飲んでいたが止めた人(約1000人)と、もともと飲まない人(約5000人)に分けて調べると、飲んでいたが止めた人の自殺リスクは、時々飲む人の6.7倍と、特に高いことがわかりました。



という部分でして、こっちは、

お酒を飲まないグループには、もともと飲まない人だけでなく、飲んでいたけれども止めた人が含まれています。まず、飲まないグループには、その後の自殺に結びつくような病気を抱えた人が多かったことが考えられます。また、お酒を飲むグループよりも、自殺のリスクが高いことが知られているうつ状態の人が多かった可能性も考えられます。その他にも同様に自殺リスクを高める可能性がある、友人や親しい人が少ないなど社会的な支援状況の違い、ある種の性格傾向、ストレスへの対処様式、宗教的背景の違い、あるいはアルコール依存症の経験などといった要因が理由として考えられます。



と、ちゃんとした考察がされています。まあ、健康によさそうな行動なのに、逆の結果になったので、ちゃんと考察したんでしょうねえ・・・。それでも、最終的なまとめにはこう書かれています。

予想しなかった結果ですが、飲酒しない人も自殺対策の対象として考慮すべき可能性が示されました。



いや、データ的にはそうですけど・・・。「飲酒しないからと言って、必ずしも自殺しにくい人ばかりではなく、飲酒していない理由によっては、自殺リスクが高い人もいるので、そういった人達を見逃さないようにする必要がある」ってことかと・・・。

おっと、ぐちぐち長くなってきたので、このくらいで。なんか書けば書くほど、自分の飲酒を正当化するためのエントリーのような気がしてきますた(^^;)

「酒は百薬の長といへども、よろずの病は酒よりこそ起これ(吉田兼好)」ですんで、ほどほどが一番なのにはかわりないです・・・。

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│posted at 23:57:43│ コメント 14件
≫コメント 
はじめまして,izugaeruと申します。

>調査結果は相関関係を示しているだけですよね?

についてですが,これはそれ以上の意味合いがあると思います。こうした研究デザインであれば,因果関係の推論に踏み込んでいいはずです(まだ勉強不足で説明がうまくできないのですが)。

ただし,しゅうさんが述べておられるように,

>大量飲酒してしまう群はそれだけ、ストレスフルな生活を送っている群かもしれないし、アルコールに頼ってしまう性格傾向を持っている群とも言えるし、アルコール依存症の群も含まれている

といった要因の影響が考慮されていないのは,やっぱり結果を歪めてしまっていると思います。
izugaeru│URL│posted at 2006-05-23(Tue)│編集
こういうタイプの研究は,疫学的な方法論ですが,因果関係の推論に必ずしもメカニズムの説明は必要ではありません(と習いました)。もちろんあった方が望ましいですけど。

確かに突っ込みどころは多い研究かもしれませんが,outcomeのリスク要因を調べる,という点では,それほどおかしなことをやっているわけではないと思います。
izugaeru│URL│posted at 2006-05-23(Tue)│編集
>izugaeruさん

コメントありがとうございます。

私は統計学に関しては、ビミョーなので、間違えていたらご指摘いただきたいのですが、疫学的方法であっても、記述疫学の段階で、因果関係の妥当性についての検討が必要ですよね?記述疫学で立てた仮説の因果関係に妥当性があるかどうか検討し、その後分析疫学を行うってのが、疫学のやり方だったかと・・・。

>因果関係の推論に必ずしもメカニズムの説明は必要ではありません(と習いました)。

えと、それは多分、因果関係の中のメカニズムを調べる必要がないってことですよね。

なので、たとえば、「喫煙により、虚血性心疾患のリスクがあがる」という因果関係を出すときに、その仮説が妥当であるかの検討は必要ですが、「喫煙という行為の何が虚血性心疾患を引き起こしているか」までは調べる必要がないということだったかと。

しゅう│URL│posted at 2006-05-23(Tue)│編集
>「日本酒換算で1日3合以上」の飲酒者
1日3合以上は立派にアルコール依存症のリスクです。
小部屋秘書│URL│posted at 2006-05-23(Tue)│編集
>小部屋秘書さん

こんにちは。
たしか一般的には4合20年か15年でしたっけ?なのでアルコール依存症のリスクが高いことは明らかです。
しかしそれだけを調べるのなら、既に明らかなことですし今さらって感じも..
しゅう│URL│posted at 2006-05-23(Tue)│編集
アルコール依存症の自殺リスクに関する知見は,すでに分析疫学レベル(症例対照研究)で豊富にあります。これは多分,prospectiveにやってる所が売りなんだと思います。ちなみに,ちょっとPubMed見ただけでもレビューが見つかるくらい↓
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=pubmed&dopt=Abstract&list_uids=16390364&query_hl=1&itool=pubmed_DocSum
izugaeru│URL│posted at 2006-05-23(Tue)│編集
>因果関係の中のメカニズムを調べる必要がないってこと

はい,そういうことです。ちょっと誤解されそうな書き方でしたね,補足説明ありがとうございます。
izugaeru│URL│posted at 2006-05-23(Tue)│編集
言い方変えたら、

「酒をたくさん飲むやつが、死にたくなる」じゃなくて、

「死にたくなるようなやつが、酒をたくさん飲む」ってことですかい?
グッチ│URL│posted at 2006-05-23(Tue)│編集
>izugaeruさん

>アルコール依存症の自殺リスクに関する知見は,すでに分析疫学レベル(症例対照研究)で豊富にあります。これは多分,prospectiveにやってる所が売りなんだと思います。

たしかに。そこはあんまりなかった研究でしょうから、売りになるでしょうねえ。もう少し考察をちゃんとしてくれたら、そんなに気にならなかったんですけどね。
しゅう│URL│posted at 2006-05-23(Tue)│編集
>グッチさん

はじめまして。(←でしたよね?)

>言い方変えたら、

っていうのが、どれを言い換えられてるのかちょっとわかりませんが、因果関係の妥当性の検討の中には、相関の方向性についての検討も必要だと思うので、

>「酒をたくさん飲むやつが、死にたくなる」

>「死にたくなるようなやつが、酒をたくさん飲む」

のかが、論理的に決めれる必要はあるのかなと思います。
(そういうお話をされてるのですよね?>グッチさん)
しゅう│URL│posted at 2006-05-23(Tue)│編集
>izugaeruさん

お名前は他所でよく拝見するし、ブログもたまに読ませていただいてるので、いまさらですが、リンクに加えさせていただきました。

また、そちらのブログも覗きに行きます。今後ともよろしくお願いします。
しゅう│URL│posted at 2006-05-23(Tue)│編集
>しゅう さん

ありがとうございます。
こちらもリンクに追加させていただきます。
よろしくお願いします。
izugaeru│URL│posted at 2006-05-24(Wed)│編集
はじめまして。
Dr. Iと申します。
TBありがとうございました。

田舎が多いっていうのは、こういう研究って地方自治体が協力してくれて成り立つものなんですが。
大きい都市だと、協力してくれない所が多いんですよ実は。
他の疫学研究でも、似たようなもんだと思います。

おっしゃる通り、酒を飲む→自殺が多い
というように、酒を飲むのが原因で自殺が多いってのが結果かどうかは言えないと思いますね。

ストレスが多い人が、多く酒を飲むとか、他の要因を除けないと、結論だすのが難しいような気がします。


Dr. I│URL│posted at 2006-05-27(Sat)│編集
>Dr. Iさん

こんにちは。コメントありがとうございます。
勝手にTB送りつけてしまい、申し訳ないです。しかも勝手にリンクも張らせてもらってますが、差し支えがあれば、おっしゃってください。

>田舎が多いっていうのは、こういう研究って地方自治体が協力してくれて成り立つものなんですが。
大きい都市だと、協力してくれない所が多いんですよ実は。
他の疫学研究でも、似たようなもんだと思います。

あー、なるほど。そういう事情があったんですね。納得しました。でも、この手の地域差の大きそうな研究は都市部でもやってほしいですけどね。

医療職でありながら、知らないことが多いので、また覗きにいかせてもらいます!今後ともどうぞよろしくお願いします。
しゅう│URL│posted at 2006-05-27(Sat)│編集
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